2014-10-18 (Sat)
「高額のバイトがある。だけど中身を聞いたが最後、断ることはできないぞ。」
卒業したサークルの先輩に呼び出された僕は、いきなりこう告げられた。 何やらいわくありげな様子に僕は躊躇した。 しかしバイト代は耳を疑うほど高額だった。 さんざん迷った挙句引き受けることにした僕は、その内容を聞いてさらに耳を疑った。 それは某女子学園で性教育のための人体モデルをやるというものだった。 最初は先輩にかつがれているのだと思っていたが、話を聞くとどうやら本当の話だった。 確かに引き受けるとは言ったものの、僕は何だか怖くなって気が引けていた。 打ち合わせのためにその女子学園を訪れた。 正門をくぐると噴水があり、植え込みや花壇も綺麗に整えられ、いかにも「女の花園」という雰囲気をかもし出していた。 僕は受付で用件を伝え保健の先生を訪ねた。 先生は三十前後の白衣の似合う知的な雰囲気の女性教師だった。 「早速ですけど、アルバイトの内容は聞かされていますね?」 「はい、おおよそは…。」 「結構。この学園では三年生になると、詳しく且つ正確な知識を身に付けるため、実際に男性の方をお招きして、実物をもとに研究・学習することになっています。」 「はあ…。」 「服は全部脱いでいただきます。その上で全てを生徒さん達に見せていただきます。分かりますね?」 「はい…。」 「学習の対象は主に性器の部分になりますが、よろしいですね?」 「は、はい…。」 「生殖機能に関する学習では、勃起から射精までを予定しているのですが…」 「そ、そこまでも…ですか…?」 「はい、生徒さん達の学習のためにもぜひお願いできればと思うのですが…、いかがでしょう?」 「わ、分かりました…。」 「そう言っていただければ大変ありがたいです。」 先生は真っ直ぐな目で僕を見た。その言葉には一切猥褻な意味合いは感じられなかった。 「では、明後日2時ちょうどにまたここへいらして下さい。それから、このアルバイトに関して一切他言は無用に願いますね。」 「承知しました…。」 僕は正直大変なバイトを引き受けてしまったなと思った。 バイトの当日、僕は出かける前にシャワーを浴びて例の女子学園へ向かった。 先日の女性教師が出迎え、視聴覚室の隣の準備室へ連れて行かれた。 そこで用意された緑色の合皮のスリッパに履き替えた。 「では、服を全部脱いでこれを着てください。」 差し出されたのは病院で使う水色の検査用のローブだった。 先生は僕が服を脱ぎ始めても、準備室の丸椅子に腰掛けたままこちらを見ていた。 これから大勢に見られるのだからこのくらで恥ずかしがっていてはしょうがないと、僕も構わず先生の前で全裸になった。 先生も別に珍しいものを見る素振りでもなく、ただ単に準備の進捗状況を見守っているだけの様子だった。 ローブを羽織り前の紐を蝶結びにして準備完了だった。 「私が呼びに来ますので、そしたら一緒に教室へお入り下さい。」 先生は視聴覚室へつながるドアを開け準備室を後にした。 しばらくすると賑やかな声が波のように廊下を移動し、隣の視聴覚室へ流れ込んだ。そしてしんとなり、先生が教鞭を振るう音が聞こえてきた。 そうするうちにカツカツと準備室へ近づく足音が聞こえ、僕の心臓は高鳴った。 「それではお願いします。」 ドアが開き、先生はノブをつかんだまま僕を待った。 僕は先生の後について教室へと入り窓際の通路を進んだ。 三十名ほどの女生徒達の目が僕に集まっているのを痛いほど感じることができた。 いよいよだ、もうなるようになれ、といった気持ちが沸いてきた。 「それでは教科書等で学んできたことを実物のモデルさんを使って学習します。こちらが今日みなさんのためにモデルになってくださる方です。」 「よろしくお願いしまーす。」 女生徒達は礼儀正しく一斉にお辞儀をしながら声を出した。 僕も照れながらぺこりとお辞儀した。 「それでは…」 先生は目で僕に合図した。 僕は軽く深呼吸してローブの紐を解いた。 すかさず先生が後ろからローブを抜き取ると、僕は三十人ほどいる女生徒達の前で一糸まとわぬ姿で立っていた。 女生徒達は目を見開いたまま一瞬固まった。 彼女達の視線の先にあるのは僕の股間であることは間違いなかった。 僕はたまらなく恥ずかしかった。 「おそらくみなさんは男性の生の体を見るのは初めてだと思います。筋肉の付き方も女性とは全く違うのが判るはずです。」 先生はそう言いながら後ろから僕の肩をつかんでゆっくりと一周回した。 「そして一番大きな違いがこの性器です。女性と違い生殖器官が体の外に付いています。いわゆる外性器です。詳しく観察してみますので、みなさん教壇の周りに集まってください。」 僕は教壇の上に仰向けに寝かされた。 それを女生徒達が二重三重に取り囲んだ。 「これが陰茎、ペニスです。」 先生はみんなの前で僕のペニスをつまみ上げた。 「このくびれたところの先が亀頭ですね。亀頭の先にはこのように尿道口があります。」 先生は尿道口を指で広げてみんなに見せた。 「この中に尿道があり、膀胱につながっています。そしてこのシワシワの袋のようなものが陰嚢で、その中に睾丸が入っています。この睾丸で作られた精子がこの辺りにある管を通り尿道を経て放出されます。」 先生の説明に一同は真剣な眼差しで食い入るように覗き込んだ。 僕の男性として備わった全ての部分が、詳しい説明を加えられながら隅々まで大勢の女生徒達の目に晒されていた。 “お母さん、ごめんなさい。”なぜかその時そう思った。 「それではみんな、一旦席に戻って、班ごとに教科書を持って前に来てください。まず一班からよ。教科書の図と見比べてよく観察してください。」 数人の女生徒が教科書と僕の股間との間を視線を行き来させ、真剣な眼差しで観察した。 「手にとってどうなっているかも確認しなければいけませんよ。」 女生徒達は恐る恐る僕の股間のモノをつまみ上げ、しげしげと眺めた。 「細部までよく観察してくださいね。」 僕はペニスの根元から先まで、睾丸の裏まで女生徒達にじっくり観察された。 「思ったよりも軟らかいね。」 「睾丸もちゃんと二つある…。」 彼女達もいつしか初めて見る男性器に興味津々の表情になり、袋の中を探り睾丸の形を確認したり、尿道口を開いて中を覗き込んだりしていた。 女生徒達は班ごとに次々と入れ替わった。 男として一番大事な部分が見ず知らずの大勢の女の子達の観察・研究の対象にされる恥ずかしさは尋常ではなかった。僕の恥部の全てが見せ物になっているような気がした。 「みなさんがしっかりと観察したところで次に生殖機能の説明に移ります。」 女生徒達はみな各々の席に戻り先生の講義に耳を傾けた。 「男性は物理的もしくは精神的な性刺激によって性器を変化させます。脳からの指令により、ペニスの動脈の血流が増加し、一方静脈からの血流を減少させ、海綿体に蓄積した血液によってペニスを硬化させます。これが勃起と呼ばれることはみなさんご存知ですね。」 先生は僕のペニスを刺激しながら説明を続けた。 「ペニスは勃起することにより女性の体内への挿入を容易にし、より深くまで精子を届けることが可能になるのです。」 先生はわずかに膨らみ始めたペニスを敏感に察知し、機を逃さず巧みな刺激を僕に与えた。 若く血気盛んな僕のペニスはあっという間に硬く尖った肉棒へと変化した。 「みなさん見えますか?ペニスが勃起しているところが。前に来てよく見てください。」 再び僕は女生徒達に囲まれた。 「どうですか?平常時との形の違いは判りますか?」 「はい、さっきとまるで違います。」 「亀頭も膨らんで赤くなっています。」 「これが勃起というものなんですよ。陰茎の部分はとても硬くなっていますが、亀頭はこのように硬くはなりません。」 先生が陰茎と亀頭とをつまんでその硬さの違いを説明した。 「亀頭が硬くならないのは女性の体内を傷つけないためです。よくできているでしょう。」 女生徒達は目を皿のようにして勃起したペニスを凝視した。 「それでは一人ずつ触って、平常時との形の違いや硬さを確認してください。」 僕の勃起したペニスは一人ずつ順番に握られていった。 「か、硬い…。」 「こんなに硬くなるんですか?」 「まるで中に骨が入ってるみたい…。」 初めての経験にみな一様に目を丸くして驚いた。 「みなさんちゃんと確認しましたね。それでは次に射精について説明します。」 先生はペニスをしごきながら解説した。 「ペニスの先をよく見てください。透明の液が出てきましたね。これがカウパー氏腺液です。カウパー氏腺液はアルカリ性の分泌液で、尿道に残った酸性の尿を中和する働きをします。これは精子が酸で死なないようにするためです。」 「へぇ…、うまくできてるんだ…。」 「そうです。男性の生殖器は子孫を残すために特化した精密機械のようなものです。」 先生は説明をしながらも休みなく手を動かし、僕のペニスは痛いほど硬くなっていた。 「ペニスへの物理的刺激が継続的に行われると睾丸で作られた精子が分泌液を加えられ精液となり、括約筋の働きで連続的に勢いよく放出されます。これが射精です。」 先生の巧みなしごきに僕は限界を迎え、ペニスがぎゅっと締め付けられるような感覚に襲われた。 「もうじき射精しますよ。短い時間ですから見逃さないようにしてください。」 先生の言葉に教室が静まりかえり、女生徒達の視線が僕のペニスの先に集中した。 次の瞬間、熱い塊が僕のペニスを突き上げるように通過するのを感じた。 ペニスが激しく痙攣して僕はせき止められていた全てを放出した。 女生徒達は驚きと好奇の目をあらわにして男の生理現象を見守っていた。 その時僕は、男としての全てを大勢に見られてしまった恥ずかしさと、見せてはいけないものを純心無垢な女生徒達に見せてしまった罪深さのようなものを感じた。 「みなさん、しっかり見ましたか?これが射精というものですよ。」 「先生、こんなに勢いよく出るものなんですか?」 「そうですよ。これは精液をより子宮の奥まで到達させるためなのですよ。」 「すごいね…」 女生徒達は顔を見合わせ、驚きの言葉を述べ合った。 「これが精液です。順に回して観察してください。」 先生は僕の精液をスポイトで取りガラス板の上に出すと、それを女生徒達に回した。 女生徒達はガラス板にのった精液を食い入るように見入った。 自分の出した精液さえも女生徒達にじっくり観察されることに僕はたまらない恥ずかしさを覚えた。 先生はお腹の上に飛び散った僕の精液をおしぼりできれいに拭き取ってくれた。 「これで今日の実習は終了です。モデルになって下さった方にお礼を言いましょう。」 「ありがとうございましたー。」 女生徒達は声を揃えて僕に礼を述べた。 僕は起き上がりローブを羽織りながら少し照れたように会釈した。 その後も三日間毎日モデルを務め、三年生4クラス分の実習が終了した。 百人以上の女生徒達に性器を観察されたり触られた上に、射精するところまで見られる恥ずかしさは想像以上のものだった。 見ず知らずの不特定多数に、僕の男としての全てを知られてしまったのだから。 翌年大学を卒業した僕は後輩を呼び出しこう言った。 「高額のバイトがある。だけど中身を聞いたが最後、断ることはできないぞ。」 <完> |
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